特許を出願した技術の紹介 ~ロスを減らし、作業効率の向上を~
〈成形品の打ち抜き作業に発生する課題〉
食品トレーや収納用トレーを熱処理で成形する際、真空成形や圧空成形によって1枚のシートから複数の成形品が形成されます。その成形品を抜き型で打ち抜く際、打ち抜き刃の位置を成形品の輪郭に正確に合わせなければいけません。
しかし、シートは素材の物理的性質やロットにより、どうしても変形する箇所が発生します。そのため、成形品の輪郭に合わせてオペレーターが目視で打ち抜き位置を微調整する必要があります。また、たとえ微調整を行ったとしても作業を繰り返すうちにボルトの緩み等によって打ち抜き位置の微妙なずれが発生してしまい、大量のロスが出てしまう原因のひとつにもなっていました。
「調整にかかる手間と時間を少なくして、ロスを減らすことはできないものか」お客様から寄せられたそんな声から、池田木型製作所の技術スタッフによる「新たな打ち抜き装置」開発への挑戦がスタートしました。
〈製品の輪郭に合わせて半自動的に打ち抜き位置を調整〉
まずその課題を解決するためには、打抜き刃を「簡易かつ迅速に」成形品の輪郭に一致させ、無駄なく打ち抜くことができる打ち抜き装置を考え出さなければなりませんでした。現場のスタッフとアイディアを出し合い、施策や改良を重ね、最終的に“ある機能”を備えた打ち抜き装置の開発に辿りつきました。
それは、基板に「ある部品」を複数設置し、成形品の輪郭に合わせて型自体が自在に遊動できる状態にする事によって、人間の目で調整をしなくても半自動的に打ち抜き位置を調整してくれるという装置です 。連続運転しても打ち抜き位置がずれにくい機構を考案し、大量のロス発生を防ぐことも可能にしました。( 技術の概要について詳しい説明を希望される場合は、お電話かお問い合わせフォームよりご連絡下さい。)
実際に運用を始めてみると、お客様から「手間が大幅に減って助かった」「ロスが少なくなった」と喜びの声をいだだくことができました。 今後もより研鑽を重ね新たな研究開発への礎とするべく、今回開発した新しい打ち抜き装置について特許を取得することができました。この装置が、一社でも多くのお客様の課題を解決できるようお役に立てることを社員一同願っています。「打ち抜き位置の調整に手間がかかっている」「変形によるロスで採算が取れない」そんな悩みを抱えていらっしゃる方は、ぜひ一度池田木型製作所までご相談ください。
設備紹介
■CADシステム(AutoCAD、アルティオス) | ■レーザー加工機 | ■サンプルカッター |
■曲げ加工機(5台) | ■測定器(ミツトヨ、中村製作所) | |
※各設備・検査機器の性能や仕様等についてはお問い合わせください。
技術の継承
池田木型が得意とする木型・抜き型の製作や加工は、1人前になるまで5~6年程度が必要となる専門性の高い技術です。
曲げ加工機やレーザー加工機などによる自動制御で行える工程もありますが、細かい調整や合わせ目の仕上げはやはり長年の経験の積み重ねや技術のセンスが求められます。
弊社では経歴20年のベテランをはじめ、経験豊かな社員による、若い世代への技術を継承するシステムを確立しています。加えて定期的に発注のあるお客様ごとの業務マニュアル作成を義務づけることで、社内での連携がスムーズに行える体制づくりを推進。全社的な技術向上に常に務めております。